1993 ヴィーノ・ノーヴィレ・ディ・モンテプルチャーノ "シンポジオ" テヌータ・トレローゼ

2008/12/11
VINO NOBILE DI MONTEPULCIANO "SIMPOSIO"
初日
外観はレンガ色を帯びた美しいガーネット。オレンジ色もあって縁の方には透明感があり、芯はしっかりと黒みも残っている。
香りは初めは中国茶や錆びた鉄棒などの香りに、少しずつドライフラワーや乾燥いちぢく。温度が上がるにつれてスミレや乾燥したオレンジの皮、様々なスパイスの香りが出てくる。暖かな果実香は熟成したサンジョベーゼらしくもあり、鉱物的にミネラリーなニュアンスは熟成したネッビオーロのようでもある。
味わいは柔らかい果実味に高い酸が輪郭を与える、しっかりとした構成。ここでもサンドローネのネッビオーロブライダのバルベーラなど、ピエモンテのニュアンスを感じます。さらに時間が経つにしたがい目の詰まった甘い味わいも増してきて、カマルティーナを思い出したり。美しい熟成を遂げた素晴らしいサンジョベーゼです。
2日目
香りが劇的に深化。赤い果実の妖艶な香りがモクモクと湧いてくるよう。初日はかなりネッビオーロ的と思いましたが、2日目は熟成したブルゴーニュ的。柔らかい果実香のヴォリュームと複雑さは完全にグランクリュ級。 味わいのまろやかさも初日より数段増して、木目細やかな果実味とタンニンが長く長く続く。ただひたすらにおいしい。紅茶のようなニュアンスも。おいしさという点では最近飲んだリシュブール級。
過去最高の完熟サンジョベーゼといっても過言ではありません。ペルゴーレ・トルテ96や、フリーニのブルネッロ93などと並ぶインパクト。

うまく熟成した赤ワインは、個人的な分類として乾いた系(例えば93のサンドローネ)と湿った系(例えば94のヴィーノ・ノービレ)に分けて考えてしまったりもしますが、このワインは両方の要素を持っていて、どちらにも分類できません。こういうバランスのワインにはそうお目にかかることはできませんね。素晴らしい1本でした。

1993 VINO NOBILE DI MONTEPULCIANO "SIMPOSIO" TENUTA TREROSE
大阪のKにて9500円で購入