1999 カンティコ ポデーレ・ラ・カッペッラ

2008/9/27
CANTICO PODERE LA CAPPELLA
初日
97のキャンティ・クラシコ・リゼルヴァ98のリゼルヴァこちらの白ワインなどで数々の感銘を受けた造り手。その旗艦となるメルロに期待が高まる。
外観は赤みを帯びた濃い目のルビー。芯は濃いですが、全体にクリアで艶があり、美しい外観。
香りはポンッと飛び出す赤〜黒系の果実味と、針葉樹的なバニラの香り。久々にメルロの素晴らしさを感じる真っすぐでピュアな果実香。カシスやブラックベリー、樹液、ミント。様々な香りが軽やかに香る。この軽やかさがありそうでない独特な雰囲気で、この造り手の過去に出会ったワインに共通するニュアンス。スイスのこちらのメルロを思い出したり、ニュージーランドのこちらのメルロを思い出したり。
味わいは柔らかでピュアな果実味が甘く、わかりやすく、しかし緻密さを感じるタンニンと心地よい酸が全体をまとめ上げる、素晴らしい構成。同じトスカーナのメルロのワインとして、マッセートガラトローナと比較してしまいますが、”スキマ感”が全然違うのですね。インターナショナルな方向に向かわずに、トスカーナのメルロとして等身大を目指している雰囲気がなんとも好印象。温度が上がってくると、口当たりのなめらかさがグンと増して、舌に絡みつくようなしっとりとした果実味が素晴らしい。余韻は押さえ気味のアルコール感がまた最高のバランスで、カラメルのようなニュアンスが絶妙。
これは素晴らしいメルロですね。この値段としては過去最高のメルロと断言できます。ワインの状態が素晴らしいです。マッセートと比較してスケールが違うということを言うのは簡単かもしれませんが、しかしメルロをこの美味しいバランスで仕上げることも難しいと思いますね。明日にも大いに期待できます。
2日目
陰影のある初日の味わいから一転して、シンプルな赤ワインに収束。もちろんとてもおいしいですが、複雑さとか、熟成感とか、そういう方向には向かわない。初日の味わいがピークだったのかもしれません。ちょっと拍子抜けな感じもありますが、それでも初日の素晴らしさは2日目の落差を補って余りある。印象深い1本でした。


1999 CANTICO PODERE LA CAPPELLA
神戸のSにて7800円で購入