1995　マッセート　テヌータ・デル・オルネライア

2005/3/29 黒味を帯びたツヤのあるルビー。濃いが透明感のある外観。香りはエンピツの芯のような鉱物的に硬い香りとカシスなどの黒系果実。ゆっくりと空気になじませると、小粒の赤系果実の香りが徐々に立ち上がってくる。背筋の伸びた緊張感のある香り。 味わいはアタックにやや角の立ったタンニンがあるものの、口の中に広がる締まった果実味はピュアで濃密で、ダイレクトにおいしい感覚を刺激する。これほど味わいに密度感を感じるというのはあまり経験がない。タバコやレバー、オリエンタルスパイスのニュアンスが複雑さを演出する。筋肉質な味わいの後の余韻はきわめて優雅で、アルコール感とともに長くて軽やかに香りが残る。 グラスの中で時間が経つと、香りにも味わいにも初めに感じたタンニンがやわらかくなって、メルロらしいピュアな甘さがわかりやすく感じられるようになる。赤系果実のジャムとかリキュールとか。 香りから余韻までのベクトルが一貫して乱れることなく、強固なスケール感は評判に違わぬ完成度。まったくもってムリ・ムラ・ムダがない。筋肉隆々のアメフト選手がダークスーツでビシッと身を固めているような、そんな印象を持つ１本でした。

メモ 1995 MASSETO TENUTA DELL'ORNELLAIA TOSCANA I.G.T. ローマのTにてL.140000（約7970円）で購入