1997 シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド

2007/12/22
CHATEAU PICHON LALANDE
テイスティングの時に温度と味わいをチェックした後、デカンタしてもらって登場。
外観は赤っぽさがあって少し熟成が感じられる美しいルビー色。香りはひじょうにまろやかな黒系の果実香。ブラックベリー、少しカシス、それに爽やかなミントっぽいニュアンスとか、針葉樹系の香り。カベルネのガシッとした香りを想像していましたが、いい意味で期待を裏切る柔らかい香りにうっとりする。香水やスミレなどのフローラルな香りも。樽に由来する雑味成分も必要最小限で、素直な果実香がまぁるく立ち昇る、至福の香り。
味わいはやや温度低めの段階からしっとりとクリアに果実味が口の中に広がる。のどを通り過ぎる直前にまるでブルゴーニュのワインのような純粋な赤系ベリーの甘みが感じられ、その後の余韻にはじめて少しだけタンニンを感じて、キレイにクリアに何の引っ掛かりもなくまとまる。
時間が経って温度が上がってくるとクローヴなどのスパイス香が感じられてきて、まるでローヌのワインのようでもあり、ダージリンのような香りと味わいがピノ的でもあり、それらのニュアンスが何の違和感もなく両立する時、これは赤ワインの完成形だなぁということを思わせたり。味わいを構成する要素がとても多様で、それがまったく隙なく配置されていて、そして、全体像が決して固くなく、柔らかで丸い。

以前に1度だけ出会ったことのある銘柄ですが、今回のはまったくの別物と思わせる完成度でした。やはりボルドーのトップシャトーのワインは当たれば文句のつけようがなく素晴らしいですね。マイナスの要素がまったく見当たりません。これ以上においしい赤ワインは不要だと思ってしまうぐらい。ユーロ高に起因する最近の高騰ぶりでボルドーの赤は小売店で買おうとはまったく思わなかったですが、少し考えを改めようと思ってしまいました。

1997 CHATEAU PICHON LONGUEVILLE COMTESSE DE LALANDE
神戸のKSにて20000円